<最近の名刺事情>
現在、国内で使用されている名刺は1日に約3,000万枚=年間消費量として約100億枚とも言われております。従来、名刺に対する関心度は一部の印刷業者を除いて、使用する人も作る人もあまり持っていなかったのが実情です。 ところがこの1〜2年の事情は環境問題からはじまり、用紙事情、印刷システム、顧客のニーズ、不況対策による経費の削減や労働問題…等により大きく変わろうとしています。
 名刺用紙について

ひとむかし前迄は、紙はケントで色は白くて厚い物が良いとされていました。昭和も50年代になると、色はうすクリームで厚さも薄い物に人気が集中しました。  そして最近になって。

  • 環境問題からゴミの削減等による再生紙の利用
  • 木材資源を少しでも守るために非木材紙の利用が大きく叫ばれております。
    現在は、インキ適性ばかりではなく、レーザー対応用紙の開発をしております
名刺の小話をご紹介いたします。

1.名刺の歴史

「ヤア ヤア われこそは、清和源氏にその人ありとうたわれたる八幡太郎義家が子孫、左馬頭義朝が九子、源九郎義経なり!」中世から近世にかけての武士道・騎士道華やかなりし頃の、この「名のり」こそ、いうならば「私はこういう者でございます、どうぞよろしく」と差出す現今の「名刺」に他なりません。
 
名刺という言葉は、その源をたどると中国の昔の風習で竹片に自分の名前を書いて訪問先の戸口に刺してきたことから起こったといわれています。日本では、「名札」といって和紙の短冊型に切ったものに、毛筆で自著したものを正月の年始廻りに用いたという話があります。 (甲子夜話)
鹿鳴館文化と共に渡来した現在の洋風名刺は、明治初期以後に一般に使われるようになりました。
 
次に名刺の意義と名刺が普及しだした昭和30年・40年代の作り方についてです。
現在の名刺とぜひ比べてみてください。
  
2.名刺の意義

人と人との付合いは、まず挨拶から始まります。挨拶によってへだたりが除かれ、心が近づき、打解けるものです。はじめて会う人なら、お互いが誰であるのかを名のるのが当然のエチケットです。ここに名刺交換の意義があります。
 
3.名刺の作り方

まず、基本となる名刺の大きさは、普通サイズは 55o×91oです。
関東では4号型といい、関西では9号型といいます。
紙質はできるだけ上質な紙を選ぶべきですが、まず紙の種類を選んで下さい。

ケント紙 …… リンネンを混入して漉いた紙で、イギリスケント州の特産品です。
和紙1枚漉 … 1枚1枚手で漉いたもの。漉込みといい、
                 紙幣のように自分の名前を和紙に漉込むこともできます。
                 戦前、外国へ行く大使は皆これを使いました。
 

印刷はいろいろの方法や書体があります。

書体は、明朝・清朝・正楷・教楷・宋朝・草書・隷書等です。
また、欧文名刺の書体は、センチュリーオールドのような書体は普通使われませんので、専門家とご相談してお作り下さい。

印刷の色は黒が普通ですが、マークを赤刷したり、金の箔押しをしたり、だんだん高級化してまいりました。印刷方法は、普通活字を使う活版がほとんどですが、その他オフセット・凹版・浮出等があります。

大切なことは、公用と私用の最低2種類を用意すべきです。公用の名刺には決して自宅を入れない。また、私用の名刺には職業的な事柄は入れないこと。

欧文名刺の場合、英国などでは公爵、伯爵、男爵などの階級があり、その人が男性ならMr. 既婚婦人ならMrs. 未婚女性ならMiss. と入れますが、これは社交用の名刺だけのもので、ビジネスカードには特に入れる必要はないといわれています。

なお、住所の位置はイギリス式は左下、アメリカ式は右下、肩書は双方とも名前の下に入れ、社名は双方とも肩書の下、または住所と併記するのが普通といわれています。


平和名刺資料室編

 
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